座楽器『十人十音』(2016)椅子(栗、タモ)
人によって組み変わる節の多いこの椅子は、楽器のチューニングをするときのように繊細に身体と楽器を探り動かし、椅子と自分の身体重心を探しながら、着るようにして座る。筋肉は震え、共鳴腔のなるところにあり音は生まれるように座ることを試みる。

座った人は、必ずこの「座楽器」の中に入り込んだ様になり、共鳴腔の真空部分を演じる。音は震えであり、震えたとき音となる。共鳴腔となった身体は「外」と切り離された共鳴世界へ迷い込む。
椅子が人の芯の震えを包み込み、座り手と共鳴することで、音色を奏でる。この椅子に座った人々は、独自の音色を持つ。それらは集まり、戯れ、旋律となり、曲を生み出す。そんな曲は、何かを生み、聞かせる。
椅子の設計、制作から始まり、人が持つ音とそこから生まれる楽譜の形式を思考した。
完成作品の展示、レセプションパーティーまでを企画。

人の芯の震えを包み込み、共鳴することで、音色を奏でるということは、この椅子に座った人々は、それぞれ独自の音色を持つということだ。座ってくれた人たちのそれらは集まり、戯れ、旋律となり、曲となっていく。

実際に、椅子を使って、楽譜を作り、演奏を行いました。
まず、視覚的に理解できるように、椅子に座った人々の写真を、シルエットや白黒画像に置き換え、記号化しました。それを、コードごと、指示ごとに座り方とイメージを持った記号を割り当てます。また、拍子、長さによってそれぞれ、画像の比率、面積が指定されます。それらをコードの幅の8領域に分ける六線譜上に、コード記号の最低音の音域によって、上下に配し、指示記号を加えました。こうして、椅子に座り共鳴を感じた人々が、読み取り得る楽譜作りを試みました。
